Louis's Corpus

漫画「Final Phase」の登場人物『羽貫琉伊』の公式ブログです。 「Final Phase」はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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年越しはトレンディーで。

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こんにちは。羽貫です。
あいかわらずロシアにいます。今年はこっちでずっと研究を続けている猛者の先輩家で年越しです。
すっかりこちらに馴染んでいる先輩ですが、さすがにたまにはホームシックにかかるようで、アパートにはたくさんの日本のDVDがあります。今先輩が見ているのは90年代のトレンディードラマです。

これは、僕が貸しました。

実は僕はハンタウイルスの研究なんてやっていますが実はトレンディードラマ大好きなんです。最近の形だけの月9とかじゃありません。バカみたいに視聴率を取って、世の中の流行の中心にいたトレンディードラマが好きなのです。この傾向から分かるように僕のドラマ好きはカギカッコ付きです。「みんなが見ていたあの頃のトレンディードラマ」が好きなのです。

話が少しそれますが、僕が思うに生物の増殖には二つのパターンがあります。空間的(あるいは数量的)増殖と時間的(あるいは質的)増殖です。あらゆる生物(ウイルスは厳密には生物に分類されませんがここでは含めます)は「増殖する」というプログラムを必ず持っています。しかしその生物が存在する環境は有限です。そのため、どのような生物も、数量的増殖が自らが心地よい環境を壊すくらい進んでしまうと(例えば人間による環境破壊とかね)質的増殖にうつらざるを得なくなります。そうしない種は長期的にはその環境を滅ぼし、自分も滅びてしまいます。数が増えすぎた種は、一個一個の個体が長く良い一生を送れるように増殖の質を変えねばならないのです。
この文面を読んで、よくある人間の環境破壊に対するアレコレかな、と思ってもらっては困ります。別に人間が特別な種だと僕は思っていません。どんな動物も放っておけば無限に増殖します。頂点捕食者がいなくなってバランスが悪くなった食物連鎖のピラミットはすぐ崩壊します。肉食動物がいなくなれば草食動物は無限に増殖し、植物を食べ尽くして滅びてしまいます。動植物はお互いに助け合って存在しているわけではなく、バランスが壊れるような増殖をする種はすぐ環境を破壊してしまうので淘汰されるているだけです。肉食動物がいない環境の草食動物はのんきに増殖し続けるだけではなく新しい生き方を考えねば生き残れません。
同じ事がウイルスにも言えます。宿主をどんどん殺してしまうウイルスは短期的には繁栄しますが長期的には宿主という環境を失って滅びます。長く繁栄するウイルスは宿主と共存する弱いウイルスなのです。ウイルスの世界では出現時には凶悪に人を殺していたウイルスがだんだん弱毒化していくというのはよくあることなのです。

だいぶ話がそれましたが、まあつまり日本という環境における量的増殖はもう終わったよね。と僕は言いたいわけです。そしてあのころの量的増殖がもたらしていた種としての一体感の最終形態をトレンディードラマから感じて僕はおもしろがっているわけです。
日本は一体感を失ったけど、おかげで僕みたいな変人がのんきに生きていける社会になりました。それは生物の増殖の過程として当然のことです。一体感はなく、個は尊重され、少子化になる。勢いがない社会なので昔の勢いを知っている人は不満でしょう。でもいい悪いではなくそういうものなのです。
僕は風邪を引き起こすウイルス達のように日本がこのまま細く長く環境に寄生し続ければなと思っています。てかそうならいと大変だよ。

どうでもいい話をながながとしてしまったな…。そんなわけで今年はロシアの先輩の家で昔のトレンディードラマを見ながらというシュールな年越しになりそうです。

では皆様、良いお年を。







東京ラブストーリー DVD BOX

この不思議な前髪がたまらん。
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  1. 2011/12/27(火) 10:13:02|
  2. 日記

こっちでもクリスマスはクリスマスです。

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テーマ:絵・イラスト - ジャンル:日記

  1. 2011/12/22(木) 21:02:30|
  2. 近影

ロシアに来ています。

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前回失敗したのでものすごく警戒してコートを新調したのに以外とそこまで寒くない。

テーマ:絵・イラスト - ジャンル:日記

  1. 2011/12/20(火) 20:27:38|
  2. 近影

「微生物の狩人」ポール・ド・クライフ

こんばんは。というかもうおはようですかね。ちゅんちゅん。羽貫です。

僕はハンタウイルス相手に日々地味な生活をおくっています。彼らは凶悪な感染症を引き起こしますが、長い事つきあっていると妙な親近感が湧いてくるから不思議です。この病原体に対する怒りと愛情はウイルスにかかわる科学者なら皆が持っているのではないでしょうか?
さて、今回ご紹介するのは、そんなウイルスや菌に生涯をかけた人々の話です。

微生物の狩人」ポール・ド・クライフ



この本はポール・ド・クライフの「Microbe Hunters」の完訳本です。中世、ヨーロッパでは病は瘴気、つまり悪い空気によって引き起こされると考えられていました。病気には原因になるウイルスや菌がいて、ワクチンを打つと予防ができるという現在ではだれもが知っている知識は当時まったくありませんでした。
この本は17世紀にオランダ人のアントニー・レーウェンフックが自作の顕微鏡をのぞいて「雨だれの中にちっぽけな生きものがいるんだ…泳いでるぞ!」と叫んだところから1910年にパウル・エールリヒが「魔法の弾丸」を見つけるまで、微生物を愛し戦った狩人たち13人を力強く書き出しています。パストゥール、コッホなど教科書でみたことがあるような人も出てきますが、教科書の中の偉人とこの本に出てくる彼らは大違い。彼らは全員エネルギッシュだったり細かいところにこだわりすぎたり異常に警戒心が強かったりする変人です。彼らは妻を、娘を、助手を、学会を、ほんとうにさんざんな目にあわせます。でも、だからこそ、彼らは今我々を支えている科学の下地を作る事ができたのです。やっぱり研究者たるものバランスのいい常識人じゃだめですね。才能ってのは日常生活では欠点にしかならない、しかしだからこそ才能は日常をひっくり返せるのです。
この本はすばらしくおかしい偉人たちを楽しめるだけではありません。読み進めていくと感染症についてばっちり勉強できてしまいます。僕がここで駄文で説明するよりずっといいので、そういう事に興味がある方もこれを読んで下さい。一通り読み終わればかなり体系的に感染症について学べると思いますよ。
でも僕にとってこれはお勉強の本ではなく元気のでる本です。どんなに研究に行き詰まっていても、マッドな彼らのパワーをあびていると僕は何だってできるぜ!という気になってくるのです。というわけで今日も徹夜してしまいました。あはは。この現象が起こるのはきっと僕だけではないはずです。





微生物の狩人

名著です!

テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2011/12/15(木) 04:36:07|
  2. 羽貫琉伊の本棚紹介

ハンタウイルスについて⑥「症状、治療、対策」

おはようございます。
ながながと説明してきたハンタウイルス話ですが、今回はどんな症状が出て、どのように治療が可能で、どのような対策がとれるのかをみていきましょう。
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ハンタウイルス感染症は大きく分けて、旧大陸型のハンタウイルスが原因である腎症候性出血熱(HFRS)、新大陸型のハンタウイルスが原因であるハンタウイルス肺症候群(HPS)の二種類があるという説明はもうしましたね。これらの二種類のハンタウイルスはどちらも「血小板減少」と「血管透過性の亢進」を引き起こします。(「血管透過性の亢進」というのは血管が壁に穴をあけて中身を出してしまっているような状態のことです。これが起こると肺が体液で水浸しになったり、皮下出血が起こったりします。)これらが腎機能障害や呼吸器症状の原因になります。
発症までの潜伏期は平均2−3週間。前駆症状として、発熱、筋肉痛、頭痛、背部痛、腹痛、下痢症状がおこります。(HFRSでは視野傷害の報告例もみられます。)これらは風邪の症状に似ていて見分けるのは簡単ではありません。
腎症候性出血熱(HFRS)の場合は、前駆症状に引き続き、蛋白尿、白血球減少、肝胆道系酵素の上昇、点状出血などの所見となります。主に腎機能障害が主体であるので、乏尿期には人工透析が必要になります。
一方ハンタウイルス肺症候群(HPS)の場合は頻呼吸を特徴とする呼吸困難が急速に出現し、肺水腫、低血圧性ショックにより非常に急激に悪化するため、気管挿管して呼吸管理が必要になることが多くあります。

これまでのところ、ハンタウイルス感染症に有効な治療薬は開発されておらず、前述のような透析管理、呼吸管理を含めた集中治療室での全身治療を行うしか救命の手だてはありません。

近年は、ハンタウイルス肺症候群(HPS)に対してのECMO : extracorporeal membrane oxygenation(対外膜型酸素付加装置)の有効性も報告されています。治療においてステロイド投与をするかどうかは議論の分かれるところで、ハンタウイルスのうちのひとつPuumala virusの感染によるHPS症例に対してのコルチコステロイドの投与の効果が報告されていますが、今後の更なる検討が必要な治療法のうちのひとつであるといえるでしょう。

またC型肝炎ウイルスの治療薬であるリバビリンの効果は以前より報告されており、中国における腎症候性出血熱(HFRS)の治療の臨床的検討では、死亡率の劇的な低下が報告されました。しかしながら、ハンタウイルス肺症候群(HPS)に対しては、はっきりした効果は確認されていません。近年、インターフェロンインフューザーであるチロロンと、リバビリンを併用することで抗ウイルス効果があることがマウスの実験で確認されているが、リバビリンの投与自体は現在ではHPSのスタンダードな治療として推奨されておらず、更なる検討が待たれています。

HVの予防ワクチンは、中国と韓国で実用化されており不活化ワクチンが用いられていますが、いずれも旧世界型ウイルス、すなわち腎症候性出血熱(HFRS)に対してのものであるため、新大陸型ウイルスにより引き起こされるハンタウイルス肺症候群(HPS)の予防には効果はありません。以前説明したように新大陸型でも旧大陸型でも使えるワクチンを開発することがハンタウイルスの研究者の大きな目標です。

難しい言葉が多かったので読みづらかったかもしれませんが、ともかくハンタウイルスのせいで起こる感染症の治療はなかなか大変だということがお分かりいただけたでしょうか?しかも旧大陸型のハンタウイルスに効く不活化ワクチンは日本で販売されていませんし、新大陸型のハンタウイルスに効くワクチンはまだありません。

ハンタウイルス感染症を減らすための最も効果的な方法は、何度も言っていますが、「感染した齧歯類(ネズミ)やその排泄物との接触をさけること」です。ちなみに最近の研究で齧歯類だけでなく、トガリネズミ(ネズミって名前だけど齧歯類ではなくモグラやハリネズミと近縁のグループの動物)やモグラ由来の新たなハンタが出てきていて、人間に病原性があることがわかってきています。なのでより正確に言うならば、ネズミ、トガリネズミ、モグラに近づくな!ということでしょうか?

屋外での活動中はこれらの動物のの巣付近へ近寄ることは避け、屋内は清潔にし夜間は食べ物や水を放置しないこと。長年放置していてネズミが糞などをしていそうな建物の掃除などをする場合は窓を開け、マスクをして掃除してください。

ハンタウイルスへの対策だけでなく感染症への対策は基本的に清潔に健康的に生活することです。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

  1. 2011/12/13(火) 10:01:00|
  2. ハンタウイルスについて

今日も

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いつものところで朝になりました。

テーマ:絵・イラスト - ジャンル:日記

  1. 2011/12/08(木) 14:58:37|
  2. 近影

「迷走する物理学」リー・スモーリン

こんにちは。羽貫です。

最近CERN(欧州原子核研究機構)でニュートリノが光よりも早いという実験結果がでましたね。まだまだ検証が必要ですが、もし本当ならアインシュタインの相対性理論が誕生から100年目にして覆ることになります。CERNは計画が始まった当初から「巨大な科学者のおもちゃだ」なんて言われてたうえに、起動してみたら故障が相次いだりしてなかなか大きな成果を出せなかったのでこれはいいニュースなのではないでしょうか?
今日はこのニュースでふと思い出した本をご紹介したいと思います。それが現役の物理学者リー・スモーリンによる「迷走する物理学」です。
物理の部門は門外漢なんだけどこの本はわかりやすい上に物理学の研究者の内側までわかって面白いですよ。



「ストリング理論(ひも理論)」とは、ものすごくざっくり言うと宇宙、つまりこの世界全体についての法則を「ひも」とびよんびよんとゆれる「ひもの振動」で説明しようとしている理論です。今までの考え方では綺麗に説明できなかった物理の法則も、この世がひもの理論で出来ていると考えれば理解できるんじゃないかと考えられていました。
CERNが計画されていたころ、最も期待されていた実験の一つもこの「ストリング理論(ひも理論)」にかかわるものでした。CERNの大型ハドロン加速器を使えば今まで何一つ予言出来なかったストリング理論が何かを予言できるのではないかと期待されたのです。物理学で予言というとなんだかおかしな感じがしますが、アインシュタインの相対性理論は重力によって光が曲がる事を予言し、1919年の皆既日食によってそれは証明されました。優れた理論は必ず予言をするのです。そして「ストリング理論」もたくさんの予言をしていますが、それはまだ証明されていません。物理学会の超王道である「ストリング理論」がなぜ、なかなか証明されないのでしょうか?
この本はなぜ「ストリング理論」が今のような袋小路にはいってしまったのかについて詳しく説明しています。おかげでこの本のはどの本よりもわかりやすく「ストリング理論」について説明することに成功しています。現在進行中の理論を教科書のようにすべてわかっている事として書くのではなく、そこにどのような破綻があるのかまで突っ込んで書いているからです。「わかっていること」を勉強するのは学校の勉強です。「わからないこと」を「わかっていること」にしようとつとめるのが学問です。そういう意味では、何がわかってなくて問題だと説明するこの本は学校の教科書にはない面白さと明快さがあるのです。
僕はこの本を読んでいて「何かを理解する」というのはどういうことなのだろうかと考えてしまいました。この世界を説明するとき複雑な理論で説明するのははたして理解したと言えるのでしょうか?例えその理論になんの破綻がなかったとしても、この複雑な世界をもうひとつの複雑な理論で説明する事に意味があるのでしょうか?数学や物理を研究している研究者は理論の美しさが大事だとよく口にします。その意味ではまだ「ストリング理論」は美しくなりきれていません。「ストリング理論」が門外漢にわかりにくい理由はこの辺にあるのだと思います。
この本はさらに物理学会全体の問題について言及しています。主流派が大学のポストを独占し、新しいポストを選定するため研究者は食べて行くために主流派の研究をせざるを得なくなる。これは決して物理学だけの問題ではありません。主流派がつねに正しいとは限りません。偉い大学の先生だからといって後世からみて正しいことを発言するとは限らないのです。これは物理の世界だけの問題じゃないよね。この本は学問とは何かまで考えさせてくれる良著です。





迷走する物理学
ひも理論の本に挫折したことがある方もぜひ。




宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す
科学的公正を期すためにレオナルド・サスキンド氏によるこちらの本も紹介しておきましょう。彼も現役の物理学者です。こちらもなかなか刺激的な一冊。リー・スモーリンとレオナルド・サスキンドはお互いの本の中で批判をしあっています。さて宇宙を理解する上でどちらの言い分が正しいのでしょうか?

テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2011/12/06(火) 12:09:10|
  2. 羽貫琉伊の本棚紹介

ハンタウイルスについて⑤「ハンタウイルスの研究はなぜ進まないのか?」

こんばんは。羽貫です。

ハンタウイルスについてのエントリー第5回目は、今ハンタウイルスについてどのような研究が行われているかについて説明していきたいと思います。

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ハンターンウイルスが分離されて35年、新大陸型ハンタが発見されてからは20年近く経とうとしていますが、ハンタウイルスの研究はなかなか進んでいないのが現状です。これは決して僕たちがさぼっているからではなく、ハンタウイルスの自然宿主がげっ歯類であるということと関係しているのです。なぜそうなると研究が進まないのかという事を理解するには、少し脱線しますが、寄生体と宿主の関係について説明しなければなりません。

一口に寄生といっても、自然界には様々な寄生の形があります。まず思い浮かぶのはいわゆる寄生虫というやつですね。人間に寄生するサナダムシとか、回虫なんかは目に見えて分かりやすい寄生の形と言えます。病気に関わる菌やウイルスもほとんどが寄生体です。彼らは宿主である人間や動物の体内に寄生して養分を横取りします。ウイルスの場合は宿主細胞を乗っとって子孫を作らせたりもします。
私たちの腸内に大量のいわゆる善玉菌がいるように、寄生そのものが必ずしも感染症に結びつくわけではありません。寄生体の基本的な存在目的は増殖です。しかし寄生体が宿主の復元力をこえて増殖すると宿主は病気になります。これは短期的にはいいかもしれませんが、長期的には次の宿主を探すというリスクを伴います。その結果、宿主と適度に安定した関係を結ぶ寄生体が生き残ることになります。寄生蜂など、宿主を最終的に殺してしまうような寄生の形はごく限られた例なのです。
ではなぜ宿主と共存すべき寄生体が病原体になってしまうことがあるのでしょうか?それは寄生体と宿主の安定していた関係が崩れたからです。寄生体は環境が変わるとうまく宿主と共存出来ず病気にしてしまうのです。そこにはいくつかのパターンがあります。
まずは宿主が弱っている場合です。健康な状態の宿主とならうまく共存できる寄生体も、宿主の免疫力の低下によって病原体となってしまうことがあります。医学的には日和見感染ってやつですね。
そしてより深刻なのが、違う種の宿主にうっかり感染してしまった場合です。これが最も重篤な症状を起こします。以前説明した人獣共通感染症(zoonosis)はこれにあたります。
(他にも特定の個人のみに感染をおこす結核やB型肝炎などがありますが、詳しい説明はまたいつかにしましょう。)

ずいぶん脱線しましたがハンタの話にもどります。ハンタウイルスの自然宿主はネズミです。ハンタウイルスは世界中のネズミと共存しているのです。そのためネズミにハンタウイルスを感染させてもなんの症状も起こしません。これを不顕性感染(inapparent infection)といいます。ハンタを感染させたりワクチン接種を接種させたりしてもネズミは元気なままなので、症状に対する免疫防御機能の要素を分離することは困難です。

つまり何が言いたいかというと、マウス(ネズミ)での実験が全く出来ないせいで、ハンタウイルスの研究はなかなか進まないのです。

ハンタウイルスはマウスのみならずほとんどの動物で顕正の症状を引き起こしません。霊長類はPuumala virusに感染すると腎症候性出血熱起こすのですが、霊長類を使った実験には莫大なお金がかかります。これまでのところ、唯一アンデスウイルスでsyrianハムスターがハンタウイルス肺症候群(HPS)に似た症状を起こすというのだけが分かっているので、これが研究者の一縷の望みです。

僕たちがさぼっていない事がわかっていただけたでしょうか?ともかく実験が困難であるという理由でハンタウイルスの研究はなかなか進んでいないのです。しかしネズミのいる所にはハンタがいるので、研究自体は世界中で行われています。ハンタウイルスの研究者の大きな目標は新大陸型でも旧大陸型でも使えるワクチンを開発することです。ロシアや中国では現在このようなのワクチンを研究中です。
一方、少し前の学会で「感染したシカネズミと未感染のシカネズミを同居させても同居感染が起こらなかった。」ということが発表されるなど(つまり自然界のシカネズミ同士でどうやってウイルスが伝播されるのかわからない)ハンタの研究はまだまだ前途多難といえるでしょう。このウイルスのメカニズムが全て解明されるのはまだまだ先のことになりそうです。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

  1. 2011/12/01(木) 21:12:59|
  2. ハンタウイルスについて

プロフィール

羽貫琉伊

Author:羽貫琉伊
漫画「Final Phase」の登場人物。
架空の人間。
ウイルス、感染症、疫学の研究をする日々。
専門はハンタウイルス。

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