Louis's Corpus

漫画「Final Phase」の登場人物『羽貫琉伊』の公式ブログです。 「Final Phase」はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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「感染地図―歴史を変えた未知の病原体」スティーヴン・ジョンソン

こんばんわ。羽貫です。
東京はやっぱり暖かいなと思っていたら雪が…。寒い…。

さて、羽貫琉伊の本棚紹介も今回で4回目、というかまだ4回目か。もっと書いていたような気がしてた。
今回ご紹介するのはスティーヴン・ジョンソン著「感染地図―歴史を変えた未知の病原体」です。




僕の専門は疫学(Epidemiology)なんだけど、これはあまり有名ではないよね。易学とまちがえられたりして、それはそれで興味はありますが、なかなか重要性を分かってもらえなかったりします。
じゃ、疫学ってなんなのよ、と聞かれて、「統計学を使って集団を対象とした、疾病の秩序ある研究をするんだよ♡」とかいっても眠気を誘うだけなので、まずはジョン・スノーをご紹介したいと思いこの本をチョイスしました。ジョン・スノーはともかくかっこいいすごい人なので、彼を知ればあなたも自然と疫学のファンになれるはず。

ジョン・スノーは19世紀前半のイギリスの医師です。当時の医学界の人間はだいたいそれなりの家柄の出身者でしたが、彼はヨークシャーの労働者の長男として生まれました。しかし彼はロンドンまで200マイル歩いて上京したのち医学を学び、そのままロンドンで開業します。そしてついにはヴィクトリア女王の出産時に麻酔医として呼ばれるまでに出世します。なぜ彼がそのような大役をおおせつかったのか。それは麻酔法を確立したのが彼だったからです。すごいでしょ!疫学とは関係ないけど。
この本にもある通り当時の医療の水準はとても低く、顕微鏡でやっと見える「虫」が病気を広めているという考えはまだ誰にも信じられておらず、治療はもっぱら「アヘンチンキ」で、少しのアルコールかアヘンを飲まされた後意識のあるまま(しばしば患者は途中で気絶したが)外科手術が行われる、といったありさまでした。
当時エーテルを使った麻酔は発明はされていたものの、まだ確立されておらず、うまく効く患者もいれば、眠りに落ちない患者がいたり、二度と目覚めない患者もいました。(麻酔は今でもとても難しい技術で、手術中は必ず麻酔医さんが患者さんのバイタルを見ながら麻酔の管理をします。)そんな時代に、ジョン・スノーはエーテルの吸入器を作り、エーテルやらクロロホルムを自分で嗅いで正しい分量を計測し麻酔法を確立したのです。

「彼はロウソクの灯りだけをたよりに、ゲコゲコと鳴いて飛び跳ねるカエルたちの中にぽつんと座る。最新式の吸入器をいじって数分後、彼は口金を自分の頭に固定してガスを放つ。数秒で彼の頭は机に突っ伏す。そして数分後、彼は目覚め、時計を見て意識を失っていた時間を計る。彼はペンを取り、そのデータを記録するのだ。」

ほんとジョン・スノーには感謝してもしたりません。麻酔なしの手術なんて!彼は偏見にとらわれない優秀な医者であり、ものすごいパワーをもった研究者だったということがお分かりいただけたでしょうか。しかし彼がこのまま麻酔医として終わったら、彼は麻酔医としてしか名前を残しませんでした。超売れっ子麻酔医だった彼は、しかし別の研究に手を出すのです。きっかけは1848年のロンドンのコレラ災禍です。ついに来ました。疫学のお話タイムです!

当時コレラは病原体も感染経路も不明の疫病でした。それどころか、原因の菌があるか、感染する病気か、と言った事すら分かっていませんでした。当時広く信じられていたのは「瘴気説」というものです。これは「病毒を含んだ悪臭を吸うと病気になる」という考え方です。病気は人から人にうつる「伝染病」ではないと多くの医師が信じていたのです。このような状況でスノーは実地調査と統計調査をもとに「コレラは飲料水を媒介とする伝染病だ。」という結論を出したのです。
疫学の仕事は少し探偵に似ています。原因不明の事件(病気)があり、犯人(病原体、あるいはそれを媒介しているもの)をさがし、逮捕(封じ込める)する。少し想像してみたください。周りで原因不明の病気でばたばた人が死んでいきます。これは空気のせいでしょうか?水のせいでしょうか?感染症なのでしょうか?それとの農薬のせい?あるいは遺伝の問題でしょうか?どうすれば推理の糸口が見つかり、どうすればそれを証明して被害をくいとめられるでしょうか?
コレラの調査にまつわるジョン・スノーの話はまるで推理小説のようです。あまり詳しく内容を書くと犯人をバラしてしまうのと同じなので、まずは読んでみてください。僕はこんなかんじの仕事をしているのです。

現在の疫学はとても発達していて、調査には正しい手順があり、統計方法にはルールがあります。にもかかわらず、病原体を突き止め感染症が広がりを食い止めるのは至難の業です。ジョン・スノーの調査方法は、現在の疫学調査の方法から考えるといくつか間違いもありますが、当時の周囲の状況に流されずに、これだけの調査をし、正しい結論に至ったことは驚異的です。僕も彼のようでありたいと思いながら日々仕事をしているのです。



「感染地図―歴史を変えた未知の病原体」

こんな方向の仕事をしています。
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テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2012/01/26(木) 18:13:12|
  2. 羽貫琉伊の本棚紹介

友人宅にネズミが出ました。

fp_lc_17.jpg

友人宅にネズミが出たので、ネズミ捕りを仕掛けるのを手伝ってきました。
といってもペタペタするネズミ捕りを買って広げて台所においただけですが。

友人は都内の木造家屋に住んでいます。彼の家にネズミが出るのは今回が始めてだそうですが都内ではもう随分前からネズミが問題になっています。
ネズミはここで散々言っている通り、ハンタのみならずペストやラッサ熱などの感染症を持ってくる病気の運び屋です。どんな動物も人に感染すると危険なウイルスを所有していますが、人とその動物の接近が増えると人間にそのウイルスを感染させる可能性が増大します。ここ十数年エイズやエボラなどの新興感染症(Emerging Infectious Disease)がどんどんあらわれていますが、これらの出現は人間が生息範囲を広げてきたことと無関係ではありません。人間が新しい場所に進出し、いままで関わらなかった方法でいままで関わらなかった動物と接触すると、新しい、危険な感染症が出現することがあるのです。
一方ネズミは古くから人間の居住地域に近接して生きてきており、彼らがまき散らす感染症は何度も人間を苦しめてきました。
まあつまりネズミが家の中に現れるのは駄目です!ネズミ捕りでさっさと捕まえて、入ってきた経路を探してふさぎましょう。台所は清潔に。食べ残しや使った食器はしまってください。

がんばれ友人!

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

  1. 2012/01/19(木) 22:01:50|
  2. 日記

定位置に帰ってきました。



風呂には入っています。(質問されたので念のため。)

テーマ:絵・イラスト - ジャンル:日記

  1. 2012/01/12(木) 07:59:43|
  2. 近影

プロフィール

羽貫琉伊

Author:羽貫琉伊
漫画「Final Phase」の登場人物。
架空の人間。
ウイルス、感染症、疫学の研究をする日々。
専門はハンタウイルス。

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