Louis's Corpus

漫画「Final Phase」の登場人物『羽貫琉伊』の公式ブログです。 「Final Phase」はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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「迷走する物理学」リー・スモーリン

こんにちは。羽貫です。

最近CERN(欧州原子核研究機構)でニュートリノが光よりも早いという実験結果がでましたね。まだまだ検証が必要ですが、もし本当ならアインシュタインの相対性理論が誕生から100年目にして覆ることになります。CERNは計画が始まった当初から「巨大な科学者のおもちゃだ」なんて言われてたうえに、起動してみたら故障が相次いだりしてなかなか大きな成果を出せなかったのでこれはいいニュースなのではないでしょうか?
今日はこのニュースでふと思い出した本をご紹介したいと思います。それが現役の物理学者リー・スモーリンによる「迷走する物理学」です。
物理の部門は門外漢なんだけどこの本はわかりやすい上に物理学の研究者の内側までわかって面白いですよ。



「ストリング理論(ひも理論)」とは、ものすごくざっくり言うと宇宙、つまりこの世界全体についての法則を「ひも」とびよんびよんとゆれる「ひもの振動」で説明しようとしている理論です。今までの考え方では綺麗に説明できなかった物理の法則も、この世がひもの理論で出来ていると考えれば理解できるんじゃないかと考えられていました。
CERNが計画されていたころ、最も期待されていた実験の一つもこの「ストリング理論(ひも理論)」にかかわるものでした。CERNの大型ハドロン加速器を使えば今まで何一つ予言出来なかったストリング理論が何かを予言できるのではないかと期待されたのです。物理学で予言というとなんだかおかしな感じがしますが、アインシュタインの相対性理論は重力によって光が曲がる事を予言し、1919年の皆既日食によってそれは証明されました。優れた理論は必ず予言をするのです。そして「ストリング理論」もたくさんの予言をしていますが、それはまだ証明されていません。物理学会の超王道である「ストリング理論」がなぜ、なかなか証明されないのでしょうか?
この本はなぜ「ストリング理論」が今のような袋小路にはいってしまったのかについて詳しく説明しています。おかげでこの本のはどの本よりもわかりやすく「ストリング理論」について説明することに成功しています。現在進行中の理論を教科書のようにすべてわかっている事として書くのではなく、そこにどのような破綻があるのかまで突っ込んで書いているからです。「わかっていること」を勉強するのは学校の勉強です。「わからないこと」を「わかっていること」にしようとつとめるのが学問です。そういう意味では、何がわかってなくて問題だと説明するこの本は学校の教科書にはない面白さと明快さがあるのです。
僕はこの本を読んでいて「何かを理解する」というのはどういうことなのだろうかと考えてしまいました。この世界を説明するとき複雑な理論で説明するのははたして理解したと言えるのでしょうか?例えその理論になんの破綻がなかったとしても、この複雑な世界をもうひとつの複雑な理論で説明する事に意味があるのでしょうか?数学や物理を研究している研究者は理論の美しさが大事だとよく口にします。その意味ではまだ「ストリング理論」は美しくなりきれていません。「ストリング理論」が門外漢にわかりにくい理由はこの辺にあるのだと思います。
この本はさらに物理学会全体の問題について言及しています。主流派が大学のポストを独占し、新しいポストを選定するため研究者は食べて行くために主流派の研究をせざるを得なくなる。これは決して物理学だけの問題ではありません。主流派がつねに正しいとは限りません。偉い大学の先生だからといって後世からみて正しいことを発言するとは限らないのです。これは物理の世界だけの問題じゃないよね。この本は学問とは何かまで考えさせてくれる良著です。





迷走する物理学
ひも理論の本に挫折したことがある方もぜひ。




宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す
科学的公正を期すためにレオナルド・サスキンド氏によるこちらの本も紹介しておきましょう。彼も現役の物理学者です。こちらもなかなか刺激的な一冊。リー・スモーリンとレオナルド・サスキンドはお互いの本の中で批判をしあっています。さて宇宙を理解する上でどちらの言い分が正しいのでしょうか?

テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2011/12/06(火) 12:09:10|
  2. 羽貫琉伊の本棚紹介

プロフィール

羽貫琉伊

Author:羽貫琉伊
漫画「Final Phase」の登場人物。
架空の人間。
ウイルス、感染症、疫学の研究をする日々。
専門はハンタウイルス。

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