Louis's Corpus

漫画「Final Phase」の登場人物『羽貫琉伊』の公式ブログです。 「Final Phase」はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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ハンタウイルスについて ①



こんばんは。羽貫です。
寒くなってきましたね。

さて、今回から早速僕の専門のハンタウイルスについて説明していきたいと思います。
長くなってしまわないようにがんばります。

さてさて・・・

ハンタウイルスは、ブニヤウイルス科の中のHV属に分類されるRNAウイルスです。齧歯類(つまりネズミ)により媒介される人獣共通感染症の病原体なので、ネズミのいるところではどこでもハンタに感染する可能性があります。もちろん日本でもね。

ちなみにこの人獣共通感染症(zoonosis:ズーノーシス)ってのはなかなか曲者です。これは読んで字の通りヒトと動物両方にかかる病気のことでで、代表的なものとしてはペスト、インフルエンザ、 SARS、 狂犬病、エボラ出血熱、などがあります。この並びを見ればわかると思うけれど致死率の高い病気がとても多い。その理由は今後説明するとして、人獣共通感染症の一番のやっかいさは「絶対に撲滅できないところ」にあります。

少し話がそれますが、人類が撲滅できたたったひとつの感染症は天然痘です。
天然痘ウイルスは現在アメリカ疾病予防管理センター(CDC)とロシア国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センター(VECTOR)のレベル4施設の中にしか存在しません。(ソ連崩壊時にテロリストの手に渡ったっていう噂もあるけど。)なぜならば天然痘はヒトにしか感染しない病気だからです。だからヒトに対する予防を徹底すれば撲滅することができるのです。

ところが人獣共通感染症の場合は、ヒトだけでなくその感染症にかかったすべての動物に対して予防をしなければ撲滅することはできません。しかも多くの場合、病原体は本来の宿主(host:ホスト)と仲良くやっていて、宿主は病気にならずに元気に病原体をまきちらします。世界中のノミを殺せばペストは撲滅できます。世界中の渡り鳥に「全ての型のインフルエンザウイルスを殺せる薬(そんなものないけど)」を投与すれば新しいインフルエンザの流行は無くなるかもしれない。でもそんなことはどう考えても無理です。

獣共通感染症というのは決して撲滅できないのです。(そして僕らの仕事はなくならない。抗生物質が出来たときなくなるって噂もあったんだけどね。)

話をハンタに戻すと、齧歯類はウイルスに感染しても特に弱りません。これはハンタウイルスの本来の宿主が齧歯類だからです。そのためハンタウイルスに感染した齧歯類は無症状のまま元気にウイルスを長期間保有し、糞尿中にウイルスをばんばん排出します。

このウイルスを含んだ糞尿を粉塵と一緒にヒトが吸い込み経気道的に(つまり鼻とか口とかの粘膜から)感染すると、腎症候性出血熱(HFRS : hemorrhagic fever with renal syndrome)やハンタウイルス肺症候群(HPS : hantavirus pulmonary syndrome)といった重篤な感染症になってしまうのです。

ハンタウイルスは、齧歯類同士の接触によって感染を広げるため、感染動物の居住地域とウイルス型には相関があります。現在のところ腎症候性出血熱(HFRS)を引き起こすハンタウイルスを「旧大陸型」(アジア、ヨーロッパ圏で8種類を確認)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)の原因となるハンタウイルスを「新大陸型」(アメリカ大陸で17種類を確認)とおおまかにわけています。(近年の研究では、齧歯類だけでなくある種のモグラ等の食虫類にもハンタウイルスの感染が確認されています。)

というわけでハンタウイルスによる感染症を広げる齧歯類の一覧をのせておきます。

fp_lc_06_02.jpg

ドブネズミによる腎症候性出血熱(HFRS)が致死率が低いから自分とハンタは関係ないやと思った方、侮るなかれ。ハンタウイルスは日本人ともいろいろかかわっているのです。

ちょっと長くなって来てしまったので、その辺りの話は次回のエントリーで。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

  1. 2011/11/10(木) 19:20:54|
  2. ハンタウイルスについて
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プロフィール

Author:羽貫琉伊
漫画「Final Phase」の登場人物。
架空の人間。
ウイルス、感染症、疫学の研究をする日々。
専門はハンタウイルス。

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